2016年07月23日

私設待合所 ―安寿(矢板)―

7月2日。昼飯を摂るべく矢板の市街をさまよって見つけた店。
場所は矢板駅西口前からカーブしながら西へ向かう道沿いで向かいは栃木銀行矢板支店。

建物は飯場などでよく使うプレハブでかなり古そう。更に黄色く塗ったコンパネで後付けしたと思われる屋台のような出っ張りがあるのだがその窓は「うどん ラーメン」と大書された紙で塞がれていてしまっているので今は物置か何かに使っている様な感じ。通りがかりにその文字が目に入ったので車を店の前に着けてはみたものの、こんな妖しい雰囲気に押されてしまい店に入ろうという気が急速に萎えてしまった。ただこのままUターンしてしまうのも惜しいような気もしてとりあえず細い道を挟んだ向かいの空き地に駐め直して観察することにした。


初見では全く覚えのない店だと思ったのだがきちんと見直してみるとこの建物は見た覚えがあるような気がしてきた。実際この店の前の道は何度も通っているのだ。雰囲気が妖しすぎて意識下に封印していたのかもしれない。

更に観察を続ける。

店の脇には錆が浮いた鉄柱に電光看板が据えられているのだが、点いていない。壊れているのだろうか。
入り口の戸は開いていて、すっかり退色したピンクの(かつては赤だったのではないかと思うが)薄っペラな布切れが物干し竿にかけられている。これはたぶん暖簾だろうから営業はしているのだろう。
入り口の上には「安寿」と書かれた看板。これが屋号だろう。黄色地だがこれまたかなり色褪せている。隅に描かれているのはソフトクリームだろうか、ほかにも何か書いてあるのだがほとんど読み取ることができない。
店の前には車と自転車が1台ずつ駐めてあるので一人くらいは客が居そうだ。

車の中で入るべきか無視するべきかだいぶ迷ったのだがほかに行きたい店があるわけでもないので意を決して入ってみることにした。

暖簾をくぐると店内は薄暗かった。そして思いの外席の数が多い。テーブル席が全部で5卓ほどだったろうか。だがどの卓も椅子も半端品をかき集めたようでバラバラだ。ほかにカウンター席もあった。なにより驚いたのは客が4、5組ほども居たことだ。性別は半々くらいで、一人の客も2、3人でテーブルを囲んでいる客もいたが皆さん間違いなく高齢者。どんなに若く見積もっても60歳台ということはなさそう。この集団の中では確実に若い(かろうじて40歳代)オレは完全なアウェー。白血球がウイルスに殺到するがごとく先客の視線が集中するのが解る。
その視線をできるだけ避けようとそそくさと店の奥まで進みどん詰まりのテーブル席に腰を落とした。

ともあれメニューの確認。
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高くはないがなんだかバランスが悪い価格設定だ。天ぷら(そば・うどん)と月見が同じ値段っていうのは初めて見たかも。カレーが700円というのもこのラインナップからするとやや高めに感じる。いろいろ付いてくるのかもしれない。トーストなんてのもあるし。そしてかき氷ではなく氷水。まさか本当に氷水じゃないだろうな。

そもそもラーメンを食べるつもりで店に入ったのだがこれは様子を見た方が良さそうだと思い、ならば日替わり定食にしようかと考え直す。オレは初めての店でも日替わりの内容確認は滅多にしないのだがここではそうせずにはいられなかった。すると、「えーと、魚……少なくとも肉ではないわね。」というなんとも微妙なお答え。ますますアヤシいしよく判らないがまあイイかと結局日替わりを注文した。

まずキュウリの塩もみが来た。まるまる1本分はありそう。早速ポリポリかじってみると、これが美味い。

店主は70歳代くらいの女性。一人で切り盛りしているようだ。話し好きのようで若い(かろうじて40歳代、ね)客は珍しいのかいろいろと話しかけてきてくれた。
話によるとここで店を開いて25年だそうだ。店のすぐ脇に市営バスの停留所(栃木銀行前)があるのだが、そこでバスを待っている人(主に老人)に、何も注文しなくて良いから店に入って待つように勧めているうちに今ではバスの待合所にもなっているんだとか。そんな気さくな人柄のおかげかいろんな人が開店前に野菜などを入り口に置いていってくれるのだそうで(お地蔵さんの供物みたいだ)、漬け物にしたキュウリももらい物らしい。だから新鮮なのだろう美味いはずだ。

話も一段落し調理に専念していた店主はしばらく経って「ご飯が炊けてない」と唐突に言い出す。別に急いでいるわけじゃなかったから良かったものの、そういうことは先に確認して欲しかったなぁ。

「ご飯が炊けてない」をさかんに連呼していたが、注文から15、6分経った頃、まずはおかずだけ並べ始め、その後炊飯器の電子音が鳴り、日替わり定食が無事揃った。

こちらがこの日の定食の全容。確かに肉ではない。
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サラダに加え小鉢が3つもが付いているのがうれしい。そのうちの一つはタラコとシラスおろし。これだけで丼飯いけそうだ。
メインのイカの煮付けは胴の中にワタが詰まっており、柔らかく歯切れよくなおかつコクがあり大変美味。この取り合わせならイカと奴と煮物とキュウリで酒飲んで、タラコとシラスおろしで締めの飯と行きたいところ。車でなかったら間違いなくビール→日本酒コースだ。

営業時間を尋ねてみたら夜は6時くらいでお仕舞いとのこと。「それ以上飲みたい人は他所へ行ってもらうの」だそうだ。ということはきっと午後の早い時間から酒飲み老人のたまり場になっているのだろう。
こんなボロ屋(本人談)でも開業時に1000万円以上かかったが返済はとうに終わっているのであくせく働かず、のんびり店を続けていきたいのだそうだ。スバらしい。

食後にはアイスコーヒーを出してくれた。
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入る前はおそるおそるだったが、入ってしまえばなかなか良い店だ。客層の年齢が高くかろうじて40代(クドい)のオレでもちょっと視線が痛かったが、その辺を気にしない人にはお勧めできそう。
今度はラーメンを食べに行ってみようかな。

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安寿(あんじゅ)
(定休日は確認したのだが忘れてしまった) 1000くらい-1800くらい
TEL 0287-44-3781(←ネット情報)
栃木県矢板市鹿島町9−6

posted by すぱ九郎 at 20:00| Comment(0) | 外食
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